Q8、漢方の素材はどのようなものを使うのですか?
A、特徴は薬局製剤の許可があるので、多くの煎じ薬や丸剤や散剤が製造できます。
珍しい生薬を漢方薬の材料として使うこともありますが、メーカーや産地により、味や香りが異なる生薬がいくつもありますので使い分けて使っております。
私の経験上ですが、サラッと
柴胡・・・これはメーカーや産地により、香りも色も異なります。ある程度年数の生育したもののほうが太く精油も多く良いもののようです。日本産は高価ですが、中国産の年数の生育したもののほうが良い香りがします。
当帰(とうき)・・・日本で流通しているものとして、日本産大和当帰、日本産大深当帰、日本産北海当帰、中国産大和種当帰がありますが、それぞれ味や香りがいくらか違います、日本産のお金がかかっているものは手も込んでいるので、温度管理して湯通ししているので味がまろやかで甘いです。中国産の手のかかっていないものは辛みがあります。皮に辛味があるので湯通しすると甘みが残ります。また、注文する刻み方によって根っこの部分だったり、太い根の部分だったりします。漢方的には薬効が違っていると言われております。あえて、部位で使い分けてみたことはありません。しかし、中国で主に流通しているのは四川当帰という少し違ったものです。
白朮(びゃくじゅつ)・・・苦みの強いものと強くないものがあります。胃の薬ですが、胃の症状には刺激性があるので炒ったほうが良いとされております。
蒼朮(そうじゅつ)・・・白く結晶の出たものとそうでない黒いままのものがあります。白く結晶の出たものが良い効き目を出します。この結晶は自分が初めて見た時はカビと間違えて捨てようとしてしまいました。
地黄(じおう)・・・主に乾地黄と熟地黄がありますが、熟地黄でメーカーによる違いがあります。地黄を蒸したもので、九蒸九晒といい9回蒸して9回晒すという行程がありますがそこがきちんとしているメーカーとそうでないメーカーがあるのか、下痢しやすくなることがあります。乾地黄は蒸していないので便通を良くしますが下痢に注意です。
朝鮮人参(ちょうせんにんじん)・・・メーカーというより値段によって色や味が若干違います。色と味の違いは若干であるにもかかわらず、値段は500gでも数万円と数千円の違いがあります。良いものほど、加工して紅参にせず白いまま生で使います。湯通しして、紅参と白参の中間みたいなものもあります。
甘草(かんぞう)・・・西北甘草と東北甘草は表記は同じ甘草ですが、中国では西北は甘味料、東北は薬用として用いられます。東北は甘みと共に苦みがあり、西北ほど飲み易くはありません。東北は解毒以外の漢方では炒って使います。炒ることでグリチルリチンを低下させ解毒以外の胃腸症状や漢方全体の調和に使います。生は解毒作用もあるので、外用や喉の炎症に用います。
半夏(はんげ)・・・等級、大きさにより、味が違います。1級半夏という大きい玉のものが良いとされておりますが、2級、3級とされる小さいものと効果の違いはあまりないと思います。ただ、小さいものほど飲むとのどがイガイガし易いことはあるかもしれません。
生姜(しょうきょう)・・・日本産と中国産で味の違いがいくらかあります。日本産のほうが刺激が少なく飲みやすい感じがありますが効果に違いがあるとは思えません。
白芍薬(しろしゃくやく)・・・高いもののほうが、香りが良いですが、実際中国での加工を考えると香りは飛んでしまっているので一概にどっちと言い切れませんが、中国産と日本産で見た目の違いが少しあります。
桂皮(けいひ)・・・何種類か日本で流通していますが、辛い順にベトナム桂枝・東興桂皮・広南桂皮・桂枝、全て同じシナモンですが、見た目の皮の厚さと辛みに違いがあります。
このような分別方法で生薬が良いだの、悪いだの、言いながら、効き目の良い漢方薬をお作りします。